射出成形の樹脂材料の種類と特徴
射出成形では樹脂が熱で溶ける性質加熱溶融性を利用して成形品を得ていますが、射出注入する樹脂材料の種類によって実際の作業などが大きく異なります。
PC - ポリカーボネート
PCは強い耐衝撃性が特徴で、耐熱性にも優れている熱可塑性樹脂です。 有機ガラスと呼ばれることもあります。 薬品耐久性が悪く、接着剤などが使えないのが難点です。 PCを使用した主な製品としては光学ディスクや航空機のコクピットのキャノピーなどが挙げられます。
ABS - アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン
ABSは衝撃に強い性質を持つ熱可塑性樹脂です。 表面が美しく文字などの印刷することもできます。直射日光に当たると劣化しやすいのがデメリットです。 主にテレビのリモコンやおもちゃのブロックなどに使われています。
PBT - ポリブチレンテレフタレート
PBTは高い電気特性が特徴で、柔軟性に優れています。 ガラスを混ぜて作ることもあり、ガラスを多く含む場合には、強度も高いです。 燃料や油などに触れても溶けません。 ただし、酸や塩基、炭化水素などに関してはあまり耐性が強くありません。 主にコーヒーメーカーやトースターなどの部品に使われています。
POM - ポリオキシメチレン
POMは「ポリアセタール」と呼ばれることもある樹脂で、強靭性や剛性に優れており、弾性や摺動性も持ち合わせているプラスチックです。 潤滑性にも優れている反面、コーティングが難しいなどのデメリットがあります。 歯車や車のギアなどに使われることが多いです。
PP - ポリプロピレン
PPは衝撃と摩耗に強く、酸や塩基に対しても耐性のある熱可塑性樹脂です。 他の樹脂よりも安価なため包装フィルムや食品容器など幅広く日用品などに使用されています。 ただし、温度が低い状態に置かれると砕けやすくなるのが難点です。
PPA - ポリフタルアミド
PPAはナイロン類と呼ばれるプラスチックです。比較的硬度が強く、熱や化学薬品に対する耐性があります。 長く使用していても摩耗しにくいのが長所です。 ただし、吸湿性が高い特徴を持ち、湿度の高い場所での使用には適しません。 主に自動車部品やカメラの部品などに使われます。